これは復讐を失った星野アクアが、快適で健康的な安眠の為に奮闘する物語である。

作品タイトルで露骨なエロ要素が多いかと思われるだろう。
そういう直接的なエロを用いずともR-18に匹敵する濃厚な色気を醸...
(全文表示)

これは復讐を失った星野アクアが、快適で健康的な安眠の為に奮闘する物語である。

作品タイトルで露骨なエロ要素が多いかと思われるだろう。
そういう直接的なエロを用いずともR-18に匹敵する濃厚な色気を醸す実例がここにある。
キャラクターの高い解像度から繰り出される心理・感情・所作の描写。その一つ一つが丁寧で、官能的だったり初々しかったりで破壊力がヤバい。
ラブコメが好きな人はもちろん、安易なエロが苦手な人にもお勧め。

物語のテンポや間の取り方も素晴らしく、ラブコメに付き物な焦ったい感じがまるでしない。
群像劇として個々の視点からの描写も濃く、キャラクターの解釈のキレが良いからだ。
個人的なお気に入りとして有馬かなの毒舌やツッコミ、将又不知火フリルの素っ頓狂な言い回しには素晴らしいものがある。

◆

『推しの子』にかぐや様のようなラブコメやギャグを期待して読んでみたが、ドロドロして闇の深い、人を選ぶ作風にダメージを負った人は多いのではなかろうか。

これはそんな人に読んでほしい癒しのある物語。

原作のアイが死んだ後の警察対応があまりにも雑ではないかと、常々思っていたところ、そこを掘り下げるこの作品を見つけた。
なろう系や二次創作特有の詰めの甘さから来るゴリ押しご都合展開がなくちゃんと一つ一つ...
(全文表示)

原作のアイが死んだ後の警察対応があまりにも雑ではないかと、常々思っていたところ、そこを掘り下げるこの作品を見つけた。
なろう系や二次創作特有の詰めの甘さから来るゴリ押しご都合展開がなくちゃんと一つ一つの手がかりが繋がっていく様子が、本当の相棒を見ているようにも思え、とても楽しく読むことができる。
推しの子というよりは相棒なので、推しの子を期待して読むのは少し控えて頂きたい。





アイが死んだ後は駄作と呼ばれる推しの子だが、アイが死んでも面白い当作品はそう思っている読者にも必見の作品となっている。