推薦作品:小悪魔日記 ~悪魔に『小』がつく幾つかの事情~ 原作:原作:東方Project
まずはじめに断っておくがこの物語に「可愛らしいキャラクター」などというものはいない。萌えだのハーレムだの百合だのこあパチェだのを求めているのなら悪いことは言わない、回れ右してしまうことだ。事の起... (全文表示)
まずはじめに断っておくがこの物語に「可愛らしいキャラクター」などというものはいない。萌えだのハーレムだの百合だのこあパチェだのを求めているのなら悪いことは言わない、回れ右してしまうことだ。事の起こりは原作開始よりずいぶんと昔(作中のガジェットからするとおそらく19世紀のイギリス)、どこかの路地裏でホームレス同然の暮らしをしていた名もない小悪魔を、使い魔の素養がある生き物を探していたパチュリーが拾うところから始まる。紆余曲折の末、魔法使いの弟子としてパチュリーに師事することなった小悪魔を語り部とし、この二人による会話のみで物語が進んでいく……のだが、タグにある「ガールズトーク」とやらを真に受けると手酷いしっぺ返しを食らうこと請け合いである。この作品に、そんなだだ甘な部分は微塵も存在はしていない。全体に退廃的で不道徳な雰囲気が漂う本作はざっと文章を拾ってみても、>いつでもいずこもどこでもかしこも、人の世こそが“まこと”の苦界>“みかど”も“こじき”も死ねば土>信じる者は馬鹿をみて疑う者は縛り首───これ宗教のみならず世の中の基本です等の皮肉と嫌味に満ち満ちており、それらはときに意地悪い笑いを誘うこともあればときに頷かされるところもある(原作にもよくある話ではある)▼読む際の注意事項など上記の通り物語の主人公である(はず)の小悪魔、これがまったく可愛くないのでテンプレートな萌えキャラ求めてるならやめておくべき。なにせこの小悪魔ときたら性格は擦れきっており言動も実に下種くさく、主であるはずのパチュリーを口先では敬っている風でありながら、腹の底ではパチュリーを利用することしか考えていない。もう一人の主人公であろうパチュリーもこれまた可愛くない。常に疲れきり諦観しきった態度を崩さず、必要ないと考えれば自分の身体さえ切り捨てる。当然のことながら小悪魔のことも役に立つ道具くらいにしか考えてはいない。こんな連中のやりとりに萌えや可愛らしさを求めるなんて無駄もいいところだろう。だがそれがいい。彼女たちはまったく可愛らしくない。人によっては嫌な女にしか映らないだろう。それゆえに魅力的である。彼女たちは決して読み手に媚びない。それは誰かの求める、都合のいい可愛さだけを振りまくマネキンであることを否定し「確立した一つの人格という意味でのキャラクター」として物語世界に生きているからである。優先されるのは常に自分の都合だけ、わざわざ他人に可愛いと思われようだなんて思いもしないだろうし、そんなものを求めたところで彼女たちには鼻で笑われてしまうことだろう。それがたまらなく魅力的である。内容がガールズトークの名を騙る皮肉と嫌味の応酬なので生理的に受け付けない人もいるかもしれないが、原作にも見られる皮肉のスパイスが効いた言葉遊びが楽しめる人ならばむしろ大歓迎だろう。また凝った言い回しにまぶされた皮肉のスパイスや、そこかしこに散りばめられた往年の名作STG、映画、漫画等のネタを探してニヤリとしてみるのも一興だ。
推薦:伏頼 評価:★ (参考になった:24/ならなかった:7)
推薦作品:東方日々綴 原作:原作:東方Project
物語は日暮という青年が神隠しにあったところから始まります。外の世界に戻らず幻想郷に残ることを決めた日暮が様々な妖怪や霊夢、魔理沙達と触れあいながら香霖堂で働いたり宴会に参加したりする日記形式のお話... (全文表示)
物語は日暮という青年が神隠しにあったところから始まります。外の世界に戻らず幻想郷に残ることを決めた日暮が様々な妖怪や霊夢、魔理沙達と触れあいながら香霖堂で働いたり宴会に参加したりする日記形式のお話です。特徴的なのは主人公に戦う力が一切無いということ。能力こそ持ち合わせていますが、おおよそ戦うことには使えず、本人にそのつもりもありません。そのため、原作の重要な要素である異変には全く絡みません。強いて挙げるならば萃夢想で宴会に参加していたくらいのものでしょうか。生活もほとんどが人里の中でのことなので、レミリアや紫といった強大な妖怪よりも人里に隠れ住む赤蛮奇や本居小鈴などとの交流が多いのも珍しいですね。あとは香霖堂で働いているので霖之助や霊夢、魔理沙辺りがよく出てくるでしょうか。貧困に喘いだり、香霖堂のガラクタを売るのに考え込んだり、チートものや転生ものとは違うほのぼのとした「本当の日常」感が癖になる作品だと思います。激しい戦闘よりもほのぼのが良いよね、という方は是非一読してみるのをお勧めします。▼読む際の注意事項など先ず日記形式の作品です。挿話などで時折普通の三人称書きがされることもありますが、日記形式はちょっと、という人には合わないかもしれません。また、先ほど述べたように主人公は戦いません。チートも無いです。そして、どうやら書き溜めてから一気に投稿するという形式を取っているようなので、こういうのもあれですが更新は時間がかかっていらっしゃるようです。続きが待てない、という方にもお勧めできないかもしれません。
推薦:溶けた氷砂糖 評価:★ (参考になった:13/ならなかった:7)
同原作推薦一覧