推薦作品:はぐはぐオズぼんとの軌跡 原作:原作:英雄伝説
ユミルを治める領主シュバルツァー家の長男たるリィン・シュバルツァーはある悩みを抱えていた。それは自らが捨て子であり、今の両親の本当の息子ではないという切実なものであった。養父たるテオ・シュバルツ... (全文表示)
ユミルを治める領主シュバルツァー家の長男たるリィン・シュバルツァーはある悩みを抱えていた。それは自らが捨て子であり、今の両親の本当の息子ではないという切実なものであった。養父たるテオ・シュバルツァー、養母たるルシア・シュバルツァー、そして義妹であるエリゼ・シュバルツァーの彼に対する愛情に一切の偽りは存在しない。しかし、それでも実の両親に捨てられたという事実は幼い彼の心を苛んでいた。そんなある日、彼は義妹を助けるため自身の秘められた力を解放し、子どもの身では到底覚束ないような魔獣を打倒する。彼自身も知らなかった秘められた力、それは彼の心にある納得を齎す。こんな気味の悪い力を持っていたからこそ、自分は実の親に捨てられたのだと。そうしてリィン・シュバルツァーの心の中には拭い難い自分は「捨て子」なのだというコンプレックスが生まれ、どこか自己評価の低い青年となっていく……というのが原作の流れなのだが、当作ではそこである声が響く。 「フフフ、息子よ。初めまして」と。目を向けてみればそこには不思議な事に自国の宰相そっくりの顔をした人形の姿が。そうして彼はその家族には見えずに自分にしか見えない(後々本人以外にも見える人物も一部だが現れる)「オズぼん」と名乗る自分の父親の人格を持った彼から、父が自分を手放さざるを得なかった理由を教えられ、自分は「疎まれたから捨てられた」のではなく「愛されていたからこそ今の家族に託された」のだという事を知る。そうしてコンプレックスを抱く事無く、健やかに成長したリィン・シュバルツァーは生来のお人好しさはそのままに「自由闊達」という言葉を体現するかのように、そのお人好しさから全力で人助けを行いながらも、破天荒ぶりで周囲を振り回していくというのが大まかな作品の流れである。その性格の違い、何よりも彼の左腕に存在する一部の人間にしか見えないオズぼんの存在によって原作とは大きく異なる展開が繰り広げられ、原作をプレイした者たちにも飽きない展開が繰り広げられており、ある種の劇薬たるリィンと接する事で原作キャラ達の魅力もしっかりと描かれている良作である。▼読む際の注意事項など
推薦:ライアン 評価:★ (参考になった:37/ならなかった:2)
推薦作品:銀河英雄伝説 エル・ファシルの逃亡者(旧版) 原作:原作:銀河英雄伝説
適度に力の入った文体で読み応えがあり一章分の文章良も丁度良い感じです。時間旅行者ものが陥るタイムパラドクスに関しては過去の自分自身に戻る事で回避しているようです。そもそもこれが単なる時間旅行者もので... (全文表示)
適度に力の入った文体で読み応えがあり一章分の文章良も丁度良い感じです。時間旅行者ものが陥るタイムパラドクスに関しては過去の自分自身に戻る事で回避しているようです。そもそもこれが単なる時間旅行者ものでは無く原作では作者に無能のレッテルを押された人物にも主人公の視点で別の解釈を与えていることから原作とは別の並行軸の可能性も有りそうです。今後の展開に期待したいと思います。▼読む際の注意事項など未来人が過去に介入することによる同盟側の改善というバタフライ効果を期待する読者は早々に立ち去った方が良いかもしれません。むしろ「時空の自浄作用説」をとっているフシがあるので主人公の出現による比較的小さなバタフライ効果とそれに対する歴史の大きな揺り戻しを愉しむ読み方が正しいように感じます。
推薦:flanker 評価:★ (参考になった:10/ならなかった:1)
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