推薦作品:日本国召喚・異聞録 原作:原作:日本国召喚
『日本国召喚』を読んでいて、「ここに〈彼ら〉が来ていれば……!」と読者の誰もが思う、ある場面。「じゃあ呼んでやろうじゃないか!」と書かれた「What if」ストーリーが、本作です。たぶん。 私見... (全文表示)
『日本国召喚』を読んでいて、「ここに〈彼ら〉が来ていれば……!」と読者の誰もが思う、ある場面。「じゃあ呼んでやろうじゃないか!」と書かれた「What if」ストーリーが、本作です。たぶん。 私見ではありますが、もし「『日本国召喚』二次創作コンテスト」をやったら、本作は上位5作品にランクインするはず。ひょっとしたら大賞もあるかもしれません。それくらい読み応え抜群で、完成度も人気も高い作品なのです。 軍事描写については、詳しい人たちの間では色々な意見があるようです。しかし私みたいな一般読者にとっては、これ以上の正確さや精緻さは蛇足のようなもので、かえって読みにくさにつながるだけのような気がします。ワタクシ的には今のままで充分以上に細かいし、カッコイイ。 文章は徹頭徹尾シリアス調です。ただ、そんな中に時折「ブフッ」と吹き出しそうになる場面があります。「人を笑わせるには、語り手が笑ってはいけない」なんてよく言われますが、この作品を読むと納得です。「しかめっ面で笑わせる」という、落語みたいな芸風といえるかもしれません。▼読む際の注意事項など 原作と比較すると、本作では政治・軍事の両面で、考察や描写が深堀りされたものになっています。このため「とにかくスカッとしたい」という人や、理屈っぽい文章が好みでない人にとっては、ややクドく感じるかもしれません。基本的に自衛隊は圧倒的に強くて、戦闘シーンはゾクゾク来るんですけどね。 また、本作は冒頭で触れた「例のイベント」から始まるわけですが、ここから先は原作とは全く異なるオリジナル展開となります。原作に沿ったストーリーを求めている人にとっては、ひょっとしたらマイナス要因になるかもしれません。 あと心配なのは、このところ更新頻度が低くなっていることでしょうか。一気に読んでしまうと、早く続きが読みたくて悶え苦しむこと確実なので、これから読む人は意識的にユックリ読み進めた方が無難かもです。 『召喚』二次で随一のクオリティを誇る『日本国召喚・異聞録』。ちょっと濃い味のオトナ向けテイストが好きな方は、ハマること間違いなし。ベスト作品の有力候補として、自信を持ってオススメします。
推薦:ブライストン 評価:★ (参考になった:5/ならなかった:2)
推薦作品:大日本帝國召喚 原作:原作:日本国召喚
『大日本帝國召喚』は、2022年7月1日の連載開始以来10ヶ月半で160話超えという、驚異的なペースで更新され続けている作品です。かなり複雑に入り組んだ内容の話を、平均で2日に1回投稿するって、並大... (全文表示)
『大日本帝國召喚』は、2022年7月1日の連載開始以来10ヶ月半で160話超えという、驚異的なペースで更新され続けている作品です。かなり複雑に入り組んだ内容の話を、平均で2日に1回投稿するって、並大抵じゃありません。 さて、『日本国召喚』二次創作の中で、最もポピュラーなタイトルが『大日本帝國召喚』でしょう。そんな「ありふれた」タイトルを持つ本作ですが、「そういう目」でリンクをクリックするのは考えもの。めまいがすること請け合いです。もうね、「異様」なのですよ。 まずタグが異様。普通タグって「アンチ・ヘイト」とか「原作改変」とかが並びますよね? そのイメージで本作のタグを見てみると……『R-15』『残酷な描写』――ここまでは普通。問題は次から――『大日本帝国』『満州国』『政治』『憲法』『法律』『勅令』『通達』『議事録』『速記録』『新聞記事』『報道番組』『手記』『書籍』『経済』……え~っとぉ、何の二次創作でしたっけ?? 次に目次が異様。いきなり『帝都新聞朝刊 2675年(平成27・2015)年1月29日』ですよ。しかも数字は全角! こんなのがズラ~ッと下の方まで並んでるんです。スゴイのになると、漢字が30個、中黒もスペースもなく並んでるタイトルがあったりします。何の罰ゲームですか!? そして最も異様なのが中身。どの話でもいいので、とにかく開けてみて下さい。前述のタグが嘘ではなかった事を、思い知ることになります。軽~い気持ちで手を付けたら、挫折すること間違いなし。「上等だ。召喚ファン舐めんな!」って思うなら、ハラ括って読んでみなはれ――面白いから。▼読む際の注意事項など 上でもちょっと触れましたが、「とっつきにくい」のが本作の特徴。まさにタグ通りの内容なので、生半可な覚悟で開けるとイキナリ挫折します(実は私も初回トライはあえなく爆死)。 文章は全体的に堅めです。中でも極めつけは政府間の協定書の類いで、「漢字カタカナ混ジリ文」で書かれていたりするので、読み切るには気合が要ります。しかも、意外にも(?)ムダな所がないので、シッカリ読んでおかないと後で損をします。 私見ですが、本作を楽しむコツは、「充分に時間を取って、文字を丹念に拾って行く」ことです。そして可能なら読み返す。私も最近は2~3回読むのがルーティーンになりました。 トバさず丁寧に読んで行くと、かなり後になって「あの時のアレ、ここにつながってたのか!」というような発見が沢山あるんですよ。これは伏線というよりは、法律の条文に近い感じ。「ちゃんと書いてあったよね?」と、作者〈もなもろ〉氏がニヤリとするのを感じます。 展開は激遅。なにしろ、普通の二次作品なら数話でクリアしちゃう「ロデニウス戦役」が、130話を超えた今でも「絶賛講和交渉中!」ですからねぇ。でも、日本って国は良くも悪くも、こういう面倒な手続きを踏んで少しずつ動くんですよ、きっと――というのを、本作を読むとしみじみ感じます。 読み手を選ぶ異様な作風ながら、「戦闘はひと休みして、召喚ネタでジックリ読書でもしてみるか」という人には間違いなくオススメの一品。スルメのような味わい深さを提供してくれる名作です。
推薦:ブライストン 評価:★ (参考になった:22/ならなかった:7)
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