推薦作品:カーマインアームズ 原作:原作:HUNTER×HUNTER
傑作です。 冒頭の軽薄さや、二次創作という先入観は、読後の今となっては獲物をおびき寄せる食虫植物のそれだったのだと痛感しています。 この作品の本質は、よくある成功譚では決してありません。 強... (全文表示)
傑作です。 冒頭の軽薄さや、二次創作という先入観は、読後の今となっては獲物をおびき寄せる食虫植物のそれだったのだと痛感しています。 この作品の本質は、よくある成功譚では決してありません。 強敵と力を競い合ったり、仲間に力を認められて成り上がったり、そのような話ではないのです。ヒトとしての記憶を持ちながらヒトではなかった一匹の虫が、ヒトに憧れて、ヒトに近付き、どんなことをしてでもヒトとして生きたかった、「そのためだけの」ストーリーです。 しかも、外の環境は地獄という言葉すら生ぬるい、「人類のいるべきではない」場所。そこから脱するには、尋常な手段では到底叶いません。結果として、主人公はヒトを目指しながら、ヒトの道から外れていく悪夢に囚われてしまいます。 取り返しのつかない恐ろしさがあるでしょう。積み上げたものがゼロに還る無力感があるでしょう。……それでも進むのは、ただヒトになりたかったからなのです。 さて、冒頭、主人公のルーツであったジャージ男の意識が、あっさりとどこかへ消え去ってしまったことに首を傾げる読者もいるかもしれません。 言い換えれば、主人公Aはこの時点で本当に死んでしまった。そればかりか、その後の主人公Bもまた、決定的な死を迎えることになります。記憶も性格も引き継がれているようですが……私には、主人公Bとその後の主人公が、到底連続しているようには思えませんでした。 この例を初めとして、およそ人間を描いているとは思えないストーリーが続きます。読むには相応の覚悟が必要でしょう。 大陸を脱出してからが特に非道い。異常な状態を、異常なままに無理矢理カタチだけ整えて、ようやく希望が見えたと思ってからの大破局。あまりの惨状に吐き気すら覚えました。 しかしその果てに……主人公はとうとう人間の証明を見出します。あまりにも大きな代償と共に。けれども、果たして、それは正解だったのでしょうか? ……物語はまだ続き、今はただ、クインの思いが報われるのを祈るばかりです。 余談ですが、正直、HxHの二次創作じゃなくてもいいのでは? という感じがひしひしとします。しかし、商業作品としてやったら売れないだろうなぁとも確実に分かるので、やはりネット小説という形がベストなのでしょう。まさにインディーズの醍醐味が表れた作品ですね。
推薦:ヰ宮まいみ 評価:★ (参考になった:73/ならなかった:6)
推薦作品:暗殺者のうちが何でハンターにならなあかんねん 原作:原作:HUNTER×HUNTER
主人公であるラミナ・ハサンは流星街生まれの女暗殺者。決まった組織に就かず、自らの念能力と技術のみでギャングやマフィア、時には一般人から依頼を受け、暗殺を生業とする所謂裏の人間。流星街に生まれた故に自ら... (全文表示)
主人公であるラミナ・ハサンは流星街生まれの女暗殺者。決まった組織に就かず、自らの念能力と技術のみでギャングやマフィア、時には一般人から依頼を受け、暗殺を生業とする所謂裏の人間。流星街に生まれた故に自らのルーツはほとんど解らず、普通の人間らしい生き方も望めず、血にどっぷりと浸かりながらその日を生きていた。しかし、ある日自らのお得意の組織から暗殺の名家ゾルディック家から暗殺者が送られてきた。彼ら曰く、組織の中枢まで踏み込んだ情報を知る彼女の口封じであると…。必死の戦闘と同郷のよしみである幻影旅団の支援の末、その場を切り抜けることはできたが…幻影旅団の団長クロロから、謝礼代わりに一つの指令が伝えられた。「『ハンター』になって来い」と。原作の内容を踏襲しつつも一つの作品として完成された作品。ハンターハンターの独特な世界観をうまく形容した文章や「原作にもありそう」と思える念能力とキャラクターをちょっとしか出てこないキャラや一つの戦闘に出し、それを腐らせることなく魅せるアイデア力。一回、一回の戦闘にも力を入れ、全てのキャラクター達の躍動感溢れる戦闘シーンの数々は読みごたえがあります。それらもすばらしいですが、何よりも凄いと思えるのが、原作に対するリスペクト。原作にはちょっとしか出てこない専門用語や、世界観におけるちょっとした設定やちょっとしたキャラクターなど、作品を読み込んでいなければ思い付かないアイデアが多数出てきており、「そういえば、こういう設定あったな」「ああ、こういう能力もあったな」と思わせてくれるでしょう。そして、原作の内容を遵守しつつも、1つの作品としても筋を通しているため、非常に読み応えのある作品です。▼読む際の注意事項など大筋はそのままですが、原作の展開や登場キャラが大きく変更され、オリジナルキャラクターやストーリーも多く混在するので、それらが苦手な方にはおすすめできません。そして主人公はヴィラン側の人間のため、幻影旅団に贔屓な展開があります。また、主人公は関西弁ですが、作品タグにあるように「にわか関西弁」とあるので、気になる方はご注意ください。あらすじに惹かれた方は是非ともご一読ください。
推薦:ウルテラ 評価:★ (参考になった:12/ならなかった:10)
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