SAOの二次創作は実に多い。多すぎてどれから読めばいいか迷うほどに多い。
なので、読者は取り敢えずキリトが主人公の作品だったり、オリ主がキリトと並行して原作の展開をなぞっていくような作品から入ってい...
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SAOの二次創作は実に多い。多すぎてどれから読めばいいか迷うほどに多い。
なので、読者は取り敢えずキリトが主人公の作品だったり、オリ主がキリトと並行して原作の展開をなぞっていくような作品から入っていく場合が多いと思う。
だがこの作品はそういうのとは一味違う。もちろんそういう層も気軽に読めるよう原作の用語や世界観の解説が分かりやすくされている上で、原作の筋書きからは独立した完全オリジナルの物語が展開されているのだ。


そして、何といってもこの作品の一番の特徴は、「原作準拠」を貫き通していること。
オリ主たちはキリトと知り合い、冒険の日々を送りながらも、決して原作の展開に依存する事がない。なのにキリトやアスナたちの物語は原作から一切改変されていないのである。
だから、オリキャラ達はキリトと一緒にスタバ無双はしない。同じタイミングで結婚したり、二十二層のログハウスでご近所さんになることもない。ALO編なんてキリトの活躍描写はほとんどない。というかそもそもキリトと行動を共にしていない。
その代わりにSAOの登場人物はこれでもかというくらいに登場する。アルヴヘイムのプレイヤーたちやレンちゃん達GGO勢、さらにはSAOゲームの世界観まで採用している上に各々に丁寧な紹介と出番を用意しているので、SAOの世界観が好きな方は間違いなく楽しめるだろう。
キリト達の軌跡を描く「剣の物語」、ソードアート・オンラインの対極に位置して、対等に独立した「盾の物語」、それがシールドアート・オンラインなのである。


物語の内容としては、デスゲーム中に武器縛りをする変人と、デスゲーム中にソードスキル縛りをする剣士の織り成すトンデモ奇譚。何言ってるかわからないと思うけど、こっちも何言ってんのか分からない。
元々ギャグの作品として出す予定だったらしくて、今もなんだかんだ言ってギャグっぽい語り口で書かれているんだけど、この作者さんやたら描写が丁寧なうえにシリアスに気合いを入れる癖があるっぽく、ギャグ回にもガチ回の伏線がふんだんに盛り込まれている徹底ぶり。最終的に原作に匹敵するとんでもねぇ事件に、キリト達の裏で巻き込まれていくってのがいつものパターン化してる。だけどそこからの怒涛の展開とグランドフィナーレ感のある圧巻のラストは必見。
そしてガチ回化していく前にはちゃっかり前書きにガチ回注意報が出るので、非常に心臓に優しい仕様。いやマジで。


とまあいろいろ書いてきたが誰でも気軽に楽しめるうえ、SAOファンも読み応えのある小説です。一読の価値ありかと。



▼読む際の注意事項など

基本的に原作通りに進みますので、死亡キャラの生存ルート等は現時点ではないようです。
また上述したように、オリ主達はキリト達の軌跡に沿うことなく独自の物語を展開します。オリキャラの強さも作者自らキリト以下であるとしていて、無双風味は薄めです。
　
　

　もしも『ソードアート・オンライン -ホロウ・リアリゼーション-』でキリトたちと敵対していたジェネシスとティアの二人がSAOに参加していたら……というIFストーリーを主軸にしたお話になっています。
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　もしも『ソードアート・オンライン -ホロウ・リアリゼーション-』でキリトたちと敵対していたジェネシスとティアの二人がSAOに参加していたら……というIFストーリーを主軸にしたお話になっています。
　物語の進行は原作ルートではなくゲームルートに則っているため、一部のキャラがゲームルート準拠しているのも特徴的です。
　またジェネシスとティアが主役ならではのIF展開も楽しめるかと思います。

　文章は三人称視点でやや硬め。ただしギャグが混ざると砕けたような雰囲気になるので、デスゲーム特有の殺伐とした空気が和む感じになります。
　シリアスもまたギャグの濃さに負けずと、各キャラの抱えている悩みを一つ一つ丁寧に描かれているところも好感が持てます。

　またオリキャラも多数登場しており、原作以上に賑やかなムードになっているのもまた一つの特徴ですが、戦闘になると個々の役割をきっちりと書き切っているので集団戦ならではの迫力が出せているのもこの作品の強みです。
　さらに他の作品のネタも違和感なくゲーム内に織り込み、ただコピーだけで終わらせるのではなく、ちゃんとキャラクターの戦闘スタイルとして確立させているところも良い点だと思います。


▼読む際の注意事項など

　一部のキャラクターの設定改変やオリキャラが多数いること、仮面ライダーや銀魂などのネタのパロディが多いことが人を選ぶところになっているかと思います。
　さらにギャグとシリアスの温度差も少なからずあるので、ついていけない部分もあるのではないかと感じていますし、字数こそ特別多いわけではありませんが話数が多いため、最新話まで辿り着くのに時間がかかるのも読む際の注意点でもあるかなと。


　先が長い作品だと思いますが、ジェネシスたちと一緒に成長していく小説だと思っていますので、興味がありましたら一読してみてください。