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推薦作品:闇の奥 ~昭和二十年の幻想入り~ 原作:原作:東方Project
物語の主人公はなんと「戦前日本の女性諜報員」。はじまりは「昭和十三年の寒い夜」という、東方二次創作としてはいい意味で常識はずれな作品。でも中国で活動してるし、上海アリスな雰囲気を感じるといえば感じるか... (全文表示)
物語の主人公はなんと「戦前日本の女性諜報員」。はじまりは「昭和十三年の寒い夜」という、東方二次創作としてはいい意味で常識はずれな作品。でも中国で活動してるし、上海アリスな雰囲気を感じるといえば感じるかもしれない。時代文学っぽさを感じる文体のまま幻想郷に突入します。幻想入りしたあとも紆余曲折あって諜報員の強みを生かしテロ組織とバトルしたりするという、弾幕(実弾)な幻想生活です。東方二次創作が好きというよりは東方原作の会話の雰囲気が好き、蓬莱人形のミステリアスな感じが好き、あるいは東方なんか知らないけど時代小説が好きといった人たちは一読してみると引き込まれると思います。▼読む際の注意事項など先程言ったとおり、一般的な「東方二次創作」のイメージとだいぶかけ離れてます。キャラ同士のいろんな絡みとかはあんまりありません。昭和な雰囲気なので苦手な人やついていけない人はいるかも。また最初の数話は幻想入りまでの経緯的な話なので東方からだいぶずれるのは注意です。
推薦:C6N2 評価:★ (参考になった:11/ならなかった:1)
推薦作品:艦娘の集まる病院で働いてます 原作:原作:艦隊これくしょん
われわれ現代人で病院の世話になったことのない者など皆無だろう。入院や通院の経験のない者であっても生まれた場所は病院であるはずだ。また、肉親の死に病院で立ち会った者も少なくないであろう。 病院で生... (全文表示)
われわれ現代人で病院の世話になったことのない者など皆無だろう。入院や通院の経験のない者であっても生まれた場所は病院であるはずだ。また、肉親の死に病院で立ち会った者も少なくないであろう。 病院で生まれ、病院で死ぬ。病院とは一個の施設である以上に、多くの現代人にとって、はじまりと終わりを迎える一種特別な場所である。 それは人間の体を器に生を受けた艦船……艦娘たちにとっても同様なのかもしれない。病院ではなく工廠で誕生したのだとしても、彼女たちに入渠で癒せぬ傷があったとしたら、艦娘のための病院が存在することはむしろ当然といえる。 病気は治療によって駆逐するものだという認識を無意識に有している人間は少なくない。しかし、いわゆる難病のように、完治が不可能な疾患は驚くほど多い。じつは現代医療では風邪すら治すことはできないのだ。医者にできることは、熱を下げ、咳を止め、嘔吐を抑え、消耗した体力を点滴で補充することくらいである。結局は、患者自身の体が生きようとする力に頼るしかない。 艦娘専門の医師として診察に当たる本作の主人公も、刻一刻と進行する患者の病状に無力を覚え、かのブラックジャックが「医者はなんのためにあるんだ」と慟哭したように苦悩する。しかし、それでも彼はやはりブラックジャック同様に、患者ひとりひとりと向き合うことを諦めない。きょうも彼を頼って診察に訪れる艦娘たちのために、微力かもしれないが全力で、持てる知識と技術を総動員し、医者の本分を果たすべく尽力する。 それでいて、けっして独りよがりに治すことしか考えないのではない。疾患も自分の体の一部として病と付き合っていく選択肢だってある。どんな難病であっても、たとえ治ることがなくても、彼だけは最期までそばに付き添ってくれる。その希望があるから自暴自棄にならずにすむ。その時がくるまで自己の尊厳を保っていられる。それこそが彼女たちの魂の救済であろう。▼読む際の注意事項など ブラックジャックやDr.コトーなどのように天才的外科医が神のようなメスさばきで見事に患者を救っていく……という主旨の物語ではない。時間薬という言葉もあるように、手術や投薬ではなく時間だけでしか癒せない病とてある。彼にできることは、医療の本質がそうであるように、寄り添うことが主である。静かに穏やかに話が進むぶん、わかりやすい刺激がないと感じる人もいるかもしれない。だがわたしは、それこそが本作の魅力であると断言させていただく。
推薦:蚕豆かいこ 評価:★ (参考になった:49/ならなかった:11)
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