時は風雲渦巻く神世紀３００年のある日。
結城友奈と東郷美森に、あるクラスメイトの少年が声を掛けた。

「なぁ、ちょっといいか？……勇者部に、相談があるんだ」

彼―――――『藤丸』は知る由も無かった...
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時は風雲渦巻く神世紀３００年のある日。
結城友奈と東郷美森に、あるクラスメイトの少年が声を掛けた。

「なぁ、ちょっといいか？……勇者部に、相談があるんだ」

彼―――――『藤丸』は知る由も無かった―――――
その一言が、藤丸の、そして勇者部の面々の運命さえも大きく揺るがすことになろうとは―――――

これは、可憐な花々のごとき少女たちとともに、熱く眩しく駆け抜けた、ひとりの少年の知られざる激闘の記録である……ッッ！！


……と、あらすじだけを書き出せば、よくある『ゆゆゆ』のオリ主二次創作の域を出ないのですが、この作品が他の作品と根本的に違う点、それは主人公の彼が―――――


ハ　ゲ


……だということ！！

そんな彼が、日輪の如くしっかと輝く頭頂部の不毛地帯を勇者部の面々に笑われ、イジられ、罵倒され、そんでもって背中を守られ思いやられながらも、バーテックスとの戦いに身を投じていきます。
彼を取り巻く勇者部の面々も、原作以上にブッ飛んでおります！

基本的には無邪気で無慈悲、ロボオタ入ってる脅威のコミュ力モンスター・勇者パンチよりも言葉の矢が痛い原作主人公『結城友奈』！

暇さえあれば主人公と罵詈雑言合戦を繰り広げるも、戦闘時は主人公との阿吽のコンビネーションで敵を屠る、最凶のライバルにして最高の戦友・悩んだら装弾してどっか行っちゃう国防芸人『東郷美森』！

繰り出されるは無邪気な毒舌とスペシャルうどん！勇者部のリーサルウェポンガノタ『犬吠埼樹』！

原作以上に濃ゆい面々を率いることになってストレスがマッハ、でもあんまり原作とキャラが変わらないツッコミ鋭い我らが部長『犬吠埼風』！

サプリ入りジェラートを喰いまくり、サプリのサプリによるサプリのためのサプリの錬金術師、Hi-ν先輩こと『三好夏凛』！


そして、その頭に大いなる輝きを抱き、脂ぎっしゅな勇者部の面々とともに戦いの荒波を往く我らが主人公『藤丸』……
……改め、女子力満開！男気全開！毛根全壊！！誰が呼んだか不死身のハゲ芸人『ハゲ丸』！！


原作よりもカオスな集団となった勇者部が、『わすゆ』『くめゆ』のキャラクターたちを巻き込んで、讃州・樹海狭しと大暴れ！！抱腹絶倒のバトルギャグコメディ巨編！！
大まかな展開は原作準拠（＋α）であるにもかかわらず、『この勇者部なら何度散華しようが大丈夫なんじゃないか』と思えるほど、悲壮感が薄まっています。
シリアスな場面も、油断した頃にギャグを挟んでくる安心設計！肩肘張らずに読めて、みんなで笑える（雰囲気もハゲ丸君の頭も）『明るいゆゆゆ』です！
事あるたびに、読んでいるアナタはこう突っ込むでしょう―――――

『(´・ω・`)また髪の話してる……』

▼読む際の注意事項など

上記の通り、『こんな勇者部見たことねェ！！』レベルでハゲしくキャラが大崩壊しております。
『ゆゆゆ』のキャラが『銀魂』的なノリでギャグを飛ばしますので、そういった描写に嫌悪感のある方は何も言わずにブラウザバックを。
あと、基本ギャグですが原作でシリアスだったところはとことんシリアスでしんみりするのでご注意を。
逆に……『ゆゆゆ』に更にヲタク成分や熱血ヒーロー成分をマシマシしたい！という方ならば、必ずハートをブチ抜かれるハズです……！

　勇気を、希望を、愛を。
　誰だって、胸に秘めて生きている。だけど色々な不条理が、苦難が、人間関係が、人の善性を表に出すことを阻んでる。

　主人公の竜児も大赦に心が囚われていて、勇者を犠牲にする世...
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　勇気を、希望を、愛を。
　誰だって、胸に秘めて生きている。だけど色々な不条理が、苦難が、人間関係が、人の善性を表に出すことを阻んでる。

　主人公の竜児も大赦に心が囚われていて、勇者を犠牲にする世界の在り方に疑問を抱えていて――でも、だからといって、表立ってそれを否定することはできない。
　それは当たり前のこと。
　きっと誰だって、「間違っている」と感じていてもどうしようもないと諦観することはあるだろう。

　そんな当たり前の心の機微がきちんと描かれている。

　でもそれで終わりじゃない。
　これは、そんな彼が一人前の勇者になる話でもあるのだから。

　勇気を、希望を、愛を。
　胸に秘めたその想いで、心が満たされる。
　哀しいことだってあるしつらいこともある。だけどそれ以上に嬉しいし楽しい。

　この作品は、希望に向かっていることが読んでいるとわかる。
　絶望や苦難に満ち溢れているけれど、でも、前に進んでいる。
　頑張れって応援したくなる。
　でもやっぱりもう駄目なんじゃないか、と読んでいてつらくなることもある。思わず、涙を流しながら読んでいることもある。

　この作品の凄いところは、それでもそれを超えた先に、「くすっ」と笑ってしまう部分があること。
　シリアスな作品は、重たくて、読んでいると心がしんどくなって読むのをやめてしまう方もいらっしゃるかとは思います。
　だけどあくまで”個人的には”、ということにはなるのですが、この作品ではそんなことはなかったです。
　作品を読んだ余韻というものが、良い意味で大きくなかったのです。
　それは、感情の落としどころが作中に作られているから。

　本当に、凄いと思うのです。

　読んだあとに、清廉な気持ちになれるような、勇気がもらえるような、優しくなれるようなものを読みたい方にはぜひおすすめしたいと思います。

　結城友奈は勇者である。
　この作品が好きな方には、ぜひ勧めたいです。

　そのっち～。




▼読む際の注意事項など

　タグを見ればわかることですが、ウルトラマンとのクロスオーバー作品ですね。
　ですがマイナスポイントではないと言いたいのです。
　何故なら私はウルトラマンを一切見たことがなく、それでいて、この作品を「最高に面白い」と感じたからです。
　また私の友人は逆に、「ゆゆゆしらないけど読んだ」と言っていましたので、どちらか片方だけ知っていれば楽しく読めるのではないでしょうか。