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推薦作品:ああ、無情。 原作:原作:ドラゴンクエスト
『ドラゴンクエスト(Ⅰ)』二次創作。ただの一般人だったはずの主人公が勇者として姫を助けに逝ったり、竜王を倒しに逝ったりする話。 全32話、約11万字で完結済み。続編あり。 基本的にコメディで構成... (全文表示)
『ドラゴンクエスト(Ⅰ)』二次創作。ただの一般人だったはずの主人公が勇者として姫を助けに逝ったり、竜王を倒しに逝ったりする話。 全32話、約11万字で完結済み。続編あり。 基本的にコメディで構成され、よく読むとコメディに満ちていて、最終的にコメディしかないことに気付く。 ストーリーは無いわけではないし、ロリヒロインに意外な過去があったり竜王の意外な正体があったりするものの、まぁ風味付け程度のものだ。 あまり深く考えずに脱力系コメディとして読むことを推奨する。 初っ端から理不尽な目に遭う主人公だが、そんなのはまだまだ序の口。 勇者の特権として何度でも生き返ることを利用して、とにかく死にまくりながらほんの少しずつ旅を進めていく。牛歩のごとき遅さではあるが着実に進んで逝き、ロリや姫を口説いて逝き、ついでにベッドの上でも(以下略) コメディ以外の見どころとしては、勇者の知略、そして精神力か。 能力は弱いながらも何度も死に戻る精神力はとても常人のものではなく、そこに知略が合わされば思いもよらない結果を産む。 普段がヘタレな分、時折見せる主人公らしさが際立っている。特に終盤の活躍には注目だ。どんな時でも微妙にシリアスになりきれないのは流石だが。 コメディ以外は風味付け程度とは言ったが、そういう部分があるからこそ、コメディという下地が活きてくるのだろう。 最後に。 コメディという性質上、合わない人は全く合わないだろう。作品の空気は第一話だけで判断できるので、そこで読み進めるかどうかの判断をしてほしい。 軽快な文章でさくさくと読めるため、実質的に短編の文章量だ。読後感の良いすっきりとした結末を目指して、気楽な気持ちで読み進めて逝ってほしい。
推薦:祐茂 評価:★ (参考になった:29/ならなかった:7)
推薦作品:新訳 そして伝説へ・・・ 原作:原作:ドラゴンクエスト
ドラゴンクエストⅢの二次創作。勇者を主人公として世界を旅して人々を救い、魔王を倒す過程を描く。 どちらかといえば全体的に『重い』雰囲気の物語ではあるが、(主に四人目の仲間のおかげで)適所に息抜きの... (全文表示)
ドラゴンクエストⅢの二次創作。勇者を主人公として世界を旅して人々を救い、魔王を倒す過程を描く。 どちらかといえば全体的に『重い』雰囲気の物語ではあるが、(主に四人目の仲間のおかげで)適所に息抜きのようにほのぼのとしたキャラのやり取りが挿入されていて、結果としてメリハリのある『重厚感』あるストーリーに仕上がっていると言える。 一番の見どころはレビュータイトルに書いたように登場人物たちの成長だろう。 心に影があり人を信じない勇者、頑なで考えごとの苦手な戦士、教会の教えを信じ勇者の思想を拒絶する僧侶、そして強大な魔力を持ちながら心身ともに幼い魔法使い。 最初は事あるごとに衝突していた彼らがほんの少しずつ歩み寄り、お互いの考えに同調しないまでも理解をしていく。支え合うというには少々不器用で不格好な彼らだが、ときに旅中の経験により自身の根源的な思想が否定されても前を向けるだけの強さや絆を持つこととなる。その過程が上手く描かれていて、読者はキャラの成長を実感するとともに、どんどんと惹き込まれていくことだろう。 キャラの中でも特筆すべきは、幼い魔法使いの扱いについて。 彼女は、よくありがちなやけに物分かりがよかったり無邪気なだけだったり変に精神年齢の高い「なんちゃって幼女」ではなく、いい意味で「リアルな幼女」だ。 子どもらしく何度も過ちを犯すし、怒られれば落ち込むし、若干控えめながら我儘を言うし、時々言うことを聞かないし、勝手に行動するし、自分の意見が通らなければ拗ねるし、仲間同士が争っていると泣きそうになるし、良くも悪くも物事を純粋に見ている。 彼女に対する他の仲間の対応も大人としてしっかりしており、頭ごなしに『怒る』のではなく、諭すように『叱る』ことができているのもポイントだろう。 ……他のキャラについても個別に語りたいが、そうすると長くなりすぎるので涙を飲んで割愛させていただく。 次に、設定もゲーム内のものとリアル性を上手い具合にすり合わせできている。 大まかなストーリーとしてはゲーム原作の流れとほぼ同じように進行していくが、それぞれの国としての立場やそこに住む民たちの思想などの描写を勇者一行の思想と絡めることにより、ストーリーに厚みを持たせることに成功している。 呪文や魔物の強さなどについての調整も絶妙で、シビアで緊迫感のある熱い戦闘をも演出できている。 難点を挙げるなら、二次創作小説に軽快さや爽快感を求めている人には敬遠されがちということだろう。敵をズバズバと蹂躙する派手さなどとは無縁だし、描写は濃くも薄くもなく程よいとは思うが、雰囲気に引きずられて重く感じてしまう人もいるかもしれない。 そんな人にも是非一度、このレビューに少しでも興味を持ってくれたならばご覧いただきたいと思う。 いつの間にか登場人物たちに感情移入し、物語にのめり込んでいるはずだ。
推薦:祐茂 評価:★ (参考になった:51/ならなかった:6)
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