推薦作品:今周の予定は決まってる? 原作:オリジナル:現代/日常
完結済み。 物語は、理屈っぽくて少しひねくれた女子高生「和乃」が、同じクラスの男子「真山」に話しかけられ、真山が周期的に、「意識だけが過去に戻されてしまう」タイムリープ現象に巻き込まれていること... (全文表示)
完結済み。 物語は、理屈っぽくて少しひねくれた女子高生「和乃」が、同じクラスの男子「真山」に話しかけられ、真山が周期的に、「意識だけが過去に戻されてしまう」タイムリープ現象に巻き込まれていることを知る。 この作品の特徴として・ループの発生には劇的な理由が無く、ループから抜け出す方法も「短さに比例した回数だけループすること」以外に存在しない。・物語が一貫してループ「していない」和乃の主観として語られること。 がある。 ループの間隔が短い場合は、代わり映えのしない時間に閉じ込められ、長い場合は喪われる物がずっと増える。 発生するタイミングは予測はできるものの突然で、決して便利に使えるわけではない、理不尽で特異な状況。 そんな状況でも、当事者である真山はとてもまっすぐ、善良な少年だ。 他の誰も、ループ中の彼の行動を知ることが出来ない中で、誰かを傷つけたり、悪事を働こうとすることはなく。 ループ中での退屈しのぎ、ストレス緩和の意図はあれど、抜け出した時のことを考えて、勉学や運動、社交を精力的に行い、建設的に時間を使うことができる好少年だ。 対して和乃は、聡明さと年頃の少女らしさを併せ持ち、良い方向にも悪い方向にも知恵が働き、そんな自分を強く自覚している。 彼女の知恵の回りは全編にわたって発揮され、特に真山に関する知識が毎回リセットされ、ほぼ初対面の状況にも関わらず、彼の事情をすぐに把握し、理解者として振る舞う序盤の姿は、この作品にぐっと引き込んでくれる。 過去の経験から、ドライで、退廃的で、ひねくれて面倒で、だからこそ可愛らしい内心の部分も、語り部として強く描写される。 そんな対照的と言える性格の彼と彼女が、ループの内と外、非対称的な時間の流れの中。 少しずつ心を通わせて、学び合い、関係が移り変わって行く描写が、魅力的に書き上げられている。・総括 ループの中で積み上げたものは、真山の意識、記憶、経験以外はすべてリセットされてしまう。 しかし、真山と和乃の関係性は決して一方的なものにはならず、ループ中の和乃の行動、感情も、それを覚えている真山を通して伝えることで。 また、和乃自身が察することで、次の和乃へと反映されていく。 そうして、多くは喪われながらも、確かに積み重なっていく物、喪われてしまうからこそ起きる、二人のコミュニケーションの密さ、真摯さ。 互いに高校生という、自由で、不自由で、開放的で、閉鎖的な立場ゆえのインモラルさ。 ループという要素が、二人の主人公を魅力的に描く舞台として効果的に配置された、素晴らしい青春小説になっている。
推薦:ゆーれすた 評価:★ (参考になった:4/ならなかった:1)
推薦作品:【完結】人形たちの霊魂戦争 原作:オリジナル:ファンタジー/戦記
この作品を他人に薦める時何と説明するか。その判断がいかに難しいか、読んだ人にはわかると思います。硬派なファンタジーでもあり、ロボット(と、敢えて書かせていただきます)大戦ものでもあり、深堀した戦争も... (全文表示)
この作品を他人に薦める時何と説明するか。その判断がいかに難しいか、読んだ人にはわかると思います。硬派なファンタジーでもあり、ロボット(と、敢えて書かせていただきます)大戦ものでもあり、深堀した戦争ものでもあり、ヒューマンドラマでもあり、哲学小説でもあり、恋愛を凌駕する究極の恋愛小説でもあり、ギリシャ神話でもある。おまけに萌え要素などもなきにしもあらず。しかし「説明できない」という悩みこそがこの小説のおすすめポイントなのだと、私は気づきました。どの部分が響いたかによって選り分けるジャンルがかわる小説。ストーリーの邪魔することなく、しかしひけらかさない文章力を以て描かれる世界は説得力に溢れ、どこにでも素直に入り込めるので、言い方は悪いですが読者をある意味孤独にします。だからこそ、読者の知識や経験や人間性によって読み取るものが違う。読書家なら読んでみて損はありません。良い意味で読者に委ねられる部分も多いので、読み手として目に自信のあるかたにこそ読んで語っていただきたいと思いました。たくさんの人の感想を読みたくなる小説です。私はバトルものとしてもかなり好きですが、一つ選ぶなら哲学的な部分を推します。ウーティスという人間の過去を知った上で繰り広げられる霊魂という概念と、その在り方について。そして何度も思議された先の答えと、もっと先にある未来について。ネタバレしそうなので詳しくは言えませんが、個人的にはカラマーゾフの兄弟と同じ棚におきたいなと思いました。ちょっと伏せすぎて何言ってるのかわかんないと思いますが、とにかくイチオシです。
推薦:みずたま有華 評価:☆ (参考になった:3/ならなかった:0)
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