推薦作品:終末街の迷宮 原作:オリジナル:現代/冒険・バトル
一つの作品として緻密に作りこまれており、なにげないジョークや地の文でさえ意味がある。とても作りこまれており無料のウェブとは思えない完成度。これを一人で書いたのかと考えるとちょっとびっくりするくらいで... (全文表示)
一つの作品として緻密に作りこまれており、なにげないジョークや地の文でさえ意味がある。とても作りこまれており無料のウェブとは思えない完成度。これを一人で書いたのかと考えるとちょっとびっくりするくらいであり、ふとしたしたシーンでも抜け目なく意図が張り巡らされているあたりは何度も編集し推敲されたであろう努力を感じる。またポストアポカリプスものとしても巻き起こる現象はテンプレから離れており斬新で、こういった作品に慣れている人でも楽しむことができそうだ。展開する物語の構成は常にどこか謎がありスリリングで、こちらもやはりテンプレとは言い難く、しかし全体を俯瞰してみれば要所要所のポイントは抑えられている。荒廃する世界、成長する主人公、謎が謎を呼ぶ構成と物語的な示唆にあふれたあれやそれ、あとかわいい女の子。総括してもっと評価されるべき作品で、実力に対して埋もれていると感じる。みんなもっと読め!▼読む際の注意事項などしかし残念なことに評価されない理由もある。ひとつは序盤の展開の遅さ。もうひとつは主人公のチャラさ(?)だ。序盤の進行は他のポストアポカリプスものに比べてかなりゆっくりで、主人公が敵に対抗しうる力を持つまでかなり遠い。初めのかなり長い間主人公は外敵の脅威におびえるばかりで何もできず、読者はやきもきすることになる。どれくらいかというと、このまま主人公は何の能力も手に入れられずずっと震えるばかりで何もできないのではないのかと、もしかしてこの作品はなろう的なやつじゃなくてバイオ的なやつ(最初から最後までゾンビに逃げ惑う)じゃないのかと思うくらいである。自分はそう思った。しかしそこで挫けるのはとても勿体ない!たしかに最初はのろのろうだうだしているし頼りない主人公は読者の気分を苦しくさせるが、それは世界観のために必要な工程だ。上記したようにただのテンプレではないポストアポカリプスものの世界に読者を入り込ませるための過程に過ぎない。実際、弾けた後の展開にはスピード感があり、少なくとも序盤のゆっくりさは作者の技量の問題ではないことがわかる。もうひとつは主人公の性格だが……これは正直読む側の趣味による。この作品の主人公はワードセンスがかなり俗っぽく、見ようによってチャラいので、シリアスな場面をぶち壊してしまうと感じる人も多いようだ。しかし主人公の持つ独特なノリは慣れれば癖になる。個性ある主人公を受け入れられる人には、むしろ好感触かもしれない。自分のように。つまり何が言いたいかというと、やっぱり、みんなもっと読んでくれ!ということである。
推薦:海中時計 評価:★ (参考になった:6/ならなかった:1)
推薦作品:ラインの娘 原作:オリジナル:ファンタジー/戦記
素晴らしいプロットと緻密な設定が最大の魅力です。この『ラインの娘』は長編や連作短編ではなく一部を除いては独立した短編集で構成されています。海外文学の上質な短編集を読んでいるような感覚、深く静謐な文... (全文表示)
素晴らしいプロットと緻密な設定が最大の魅力です。この『ラインの娘』は長編や連作短編ではなく一部を除いては独立した短編集で構成されています。海外文学の上質な短編集を読んでいるような感覚、深く静謐な文学の森を彷徨う気分を味わいたい方にお薦めです。 多くを語ってしまうと楽しみが減ってしまいます。稚拙な言葉はここまでにしましょう。チョコレートアソートを味わうように、この芳醇な文学の香りを漂わせる短編集を読んでみてはいかがでしょうか。▼読む際の注意事項など 作品世界に没頭するには少々努力が必要です。文学の重厚感に浸りたくない方にはお勧めできません。また、お気に入りの短編を探すような感覚で読むことを薦めます。
推薦:むにゃ枕 評価:★ (参考になった:10/ならなかった:4)
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