推薦作品:甲子園の空は、ただ蒼く。 原作:オリジナル:現代/スポーツ
野球というスポーツについて前提知識がある方にとてもお勧め出来るコアな作風の作品で、基準としてはヒットエンドランとランエンドヒットの違いが分かるぐらいな方でしょうか。メディアで注目される160km... (全文表示)
野球というスポーツについて前提知識がある方にとてもお勧め出来るコアな作風の作品で、基準としてはヒットエンドランとランエンドヒットの違いが分かるぐらいな方でしょうか。メディアで注目される160kmの直球も、天高く舞い上がるホームランの描写も一切ない球児の目に見えない泥くさい努力にスポットを当てるニッチな魅力が溢れている作品です。このような作品が生まれるところにWeb創作の力を感じました。本作を読むと、2019年イチロー引退会見の「MLBは頭を使わない野球になってしまっている」「日本の野球は頭を使う面白い野球であってほしい」という言葉が思い浮かびます。確かに最近の現代野球の流れとして名作マネーボールに始まった野球の数値化により、単純に球速とスピンレートの向上を追い求めていく投手と、統計理論によるスタンドを超える打球だけを追求した効率的なバッティングの、只管に理論的な「空振りかホームラン」の動かない野球が目に見えるようになった。そんな現代野球で「データには一切現れない」技を駆使していく、本作の主人公たちはとても新鮮で自分に野球の魅力を再認識させてくれました。1シーンに切り取った作中に、WARでは表すことが出来ない野球人の生き様が描かれます。(同じ紹介を自サイトでも投稿しています)
推薦:夜市よい 評価:★ (参考になった:4/ならなかった:1)
推薦作品:斯く想う故我在り 原作:オリジナル:現代/冒険・バトル
主人公はヒロインの生き方に憧れ、ヒロインは主人公の生き方に憧れる。それだけ聞くと普通のラブストーリーにでも発展しそうではあるのだが、そうは問屋が卸さないのが柳之助クォリティである。「こんな自分の生... (全文表示)
主人公はヒロインの生き方に憧れ、ヒロインは主人公の生き方に憧れる。それだけ聞くと普通のラブストーリーにでも発展しそうではあるのだが、そうは問屋が卸さないのが柳之助クォリティである。「こんな自分の生き方に、憧れの彼(彼女)が憧れているなんて許せない」そんな理由で主人公とヒロインが本気で殺し合う、それが殺し愛、即ち柳之助クオリティ。基本的に柳之助さんの作品全部に言えることだが、台詞回しが絶妙で、かっこいい。最高のタイミングで、最高にカッコいいことを言ってくれる主人公、ヒロイン、その他で、その度に読者の心は揺さぶられっぱなしである。また日常と非日常の書き分けが綺麗で、上手く切り替えているし、自然に導入されていて、先ほどまでの日常的シーンと、急に起こる非日常のシーンのつなぎに違和感を覚えない。そして何より、設定とキャラが上手くかみ合っていて、キャラクターの魅力を最大限に生かしていると思う。この設定だからこそ、このキャラはこう動く、と言うのが非常にわかりやすい。メインキャラクターだけでなく、敵側の心情描写まであるので、ぽっとでのやられキャラと言うのは居らず、敵味方区別なく感情移入することができる。そしてだからこそ、お互いの想いをぶつけ合う戦闘は最高に盛り上がるのだと思う。
推薦:水代 評価:★ (参考になった:15/ならなかった:4)
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